53歳女性が右首から肩、腕、手にかけての痛みとしびれを訴えて来院されました。この症状は約1年前から発症し徐々に悪化してきていました。
この症状は最初、肩こりのようでしたが、徐々に腕、手に広がって来ました。普段は気にならないこともありましたが、朝起きた時に痛みや痺れを感じることがありました。最近では右肩の肩甲骨を動かしたり、首を動かしたりすると痛みや痺れを感じました。お風呂に入ったりシャワーを浴びたりすると痛みが少し和らぐということでした。半年前に整形外科でレントゲンを撮り首の骨が真っすぐなのでそれが原因で神経痛が出ていると言われ、痛み止めの薬と湿布薬を処方され、さらに牽引を2ヶ月間行ったが症状が改善されませんでした。他の療法も試したいと思い来院しました。
姿勢検査では頭が前方に突き出しているクレーンネックで、さらにこの患者さんは少し強めの先天性の側湾がある為に右の肩が上がっている姿勢でした。神経学検査では痛みを感じている右首、肩、腕の感覚は正常でした。筋力は、右肘を伸ばす筋肉と右手の小指の力が入りませんでした。首の可動域は前方向で減少していて、首を前に曲げると右肩と腕の痛みが増悪し、首を後ろに反らすと腕の痛みは感じないが首の後ろに痛みを感じました。触診では、首の右の前面と側面の筋肉の過緊張と右肩甲骨周辺の筋肉に多くの過緊張と圧痛が認められました。この結果、患者さんの症状は首の関節、筋肉、肩甲骨周辺の筋肉に問題があって引き起こされている可能性が高いと判断しました。
1回目の施術は首周辺の問題を取り除くことを中心に行いました。頸椎へのカイロプラクティックアジャストメントと首、肩甲骨周辺の筋肉の操作を行った後、右小指の弱化していた筋肉に力が入るようになりました。家では首の関節の柔軟性を高めるためと良い姿勢に戻す為のエクササイズを毎日して頂きました。2回目の来院時順調に回復していましたが、3回目の来院のとき、患者さんの都合で間隔が空いてしまい、痛みが一度戻ってしまいました。その後感覚をなるべく開けずに来院していただき、7回目の現在、患者さんの努力もあり、手と腕の痛みと痺れは消失し、首の痛みを少し感じる程度まで回復しています。
担当コメント
この患者さんの右首、腕、手の痛みと痺れは首の関節、筋肉、肩甲骨周辺の筋肉の問題によって引き起こされていました。これらの問題を引き起こした原因は、はっきり断言できませんが、おそらく長時間仕事をしている不良姿勢が、首や肩甲骨に負担をかけてこのような症状を引き起こしたと考えられます。さらにこの患者さんの強めの側湾もこれらを引き起こした引き金になったとも考えられます。このように普段何気なくしている姿勢を長期間繰り返すことによって徐々に負担が重なり痛みやしびれが出ることは少なくありません。同じように、首や腕、手の痛みやしびれが気になる方はお気軽にご相談下さい。